売買の目的物に隠れた瑕疵があったとき、売主が買主に対して負う責任をいいます(民法570条)。「売主の担保責任」の一形態です。瑕疵(かし)とは、建物にシロアリがついていたとか、土地が都市計画街路に指定されていたことなどをいいます。買主は、善意無過失である限り、契約時にわからなかった瑕疵のために損害を受けたときは、売主に対して賠償請求をすることができます。また瑕疵のため契約の目的を遂げることができない…
2017年04月 月別アーカイブ
瑕疵担保責任についての特約の制限(かしたんぽせきにんについてのとくやくのせいげん)
宅建業者が自ら売主となる宅地、または建物の売買契約においては、瑕疵担保責任についてこれを負う期間(民法570条において準用する同法566条3項に規定する期間)をその目的物の引渡しの日から2年以上とする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないとされています。買主に不利な特約とは、瑕疵担保責任を負わないとするもの、これを負う期間を買主が知ったときより1年未満の期間とするこ…
活断層(かつだんそう)
第四紀(約200万年前から現在)の間に動いたとみなされ、将来的に活動することが推定される断層のことをいいます。活断層は国内に2,000以上あるとされています。
仮換地(かりかんち)
土地区画整理事業の円滑な進捗と関係権利者の権利関係の速やかな安定を図るために、土地区画整理事業の施行者が、換地処分を行う前において、施行区域内の従前の宅地について仮に使用収益できる土地を指定する処分を仮換地の指定処分といい、このようにして指定された土地を仮換地といいます。仮換地の指定処分がなされると、従前の宅地の権原に基づいて使用収益をすることができた者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の…
仮登記(かりとうき)
終局登記(本登記)をなしうるだけの実体法上、または手続法上の要件が完備していない場合に、将来の登記の順位を保全するため、あらかじめなす登記のことをいいます(不動産登記法2条)。後日要件が完備して本登記がなされれば、仮登記の順位が当該本登記の順位になるという順位保全効を有する(同法7条2項)が、仮登記のままでは対抗力はありません。このような仮登記の一時的・仮定的性格に鑑み、実務上仮登記申請の際には登…
換地処分(かんちしょぶん)
換地処分とは土地区画整理事業における最終的な権利変換のことで、関係権利者に対して換地計画に定められた関係事項を通知することにより行われ (区画法103条1項)、原則として換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後において遅滞なく行わなければなりません(区画法103条2項)。換地処分をした場合には建設大臣または都道府県知事によりその旨が公告されます。(区画法103条4項)…
管理業務主任者(かんりぎょうむしゅにんしゃ)
平成12年に成立した「マンション管理適正法」に基づいて誕生した国家資格でマンションの管理組合全般のマネジメント業務を行います。
危険負担 (きけんふたん)
建物の売買契約などの双務契約において、契約後類焼などによって建物が焼け、売主の引渡義務が履行できないようなとき、損害(危険)を当事者のいずれが負担するかの問題をいいます。建物の引渡義務を負う売主(債務者)が代金を請求しえないとするのが債務者主義、買主(債権者)は代金を支払わねばならぬとするのが債権者主義です。民法の規定によれば、 (1)不動産のような特定物に関する物権の設定または所有権の移転をもっ…
基準地価(きじゅんちか)
毎年7月1日時点の地価を各都道府県ごとに調査し、9月中旬に国土交通省が発表するもので、1月1日時点の公示地価と併せて一般の土地取引の指標となっています。
既存不適格建築物(きぞんふてきかくけんちくぶつ)
建基法の規定の施行、または改正の際すでに建っている建築物、または工事中の建築物で、当該規定に全面的に、または一部が適合していないものをいいます。既存不適格建築物については、その適合していない規定に限り適用が除外され(同法3条2項)、そのままその存在を認められますが、一定の範囲を超える増改築等を行う場合には、同法の規定に適合するように既存の部分の手直しを行わなければなりません(同法3条3項、86条の…
供託(きょうたく)
法令により金銭・有価証券またはその他の物品を供託所(法務局、地方法務局、その支局または法務大臣の指定する法務局等の出張所)に寄託することをいいます。供託の内容を大きく分類すると、 (1)債務消滅のためにする供託(弁済供託)。一般的には、債権者の受領拒否、受領不能および債務者の過失なしに債権者を確知できないとき(民法494条)等。(2)債権担保のためにする供託(担保供託)。相手方に生ずる障害を担保す…
共有・準共有(きょうゆう・じゅんきょうゆう)
複数の者がひとつの物の所有権を有する場合を共有、所有権以外の財産権(たとえば賃借権など)を有する場合を準共有(民法264条)といいます。数人共同で、物を買ったり相続したりすると共有を生じ、各人はこの物の持分を有することになります。持分は合意、または法律の規定(民法900条等)で決まりますが、それが明らかでない場合は均等と推定されます(同法250条)。共有者は持分に応じて共有物全部の使用ができます(…
共用部分(きょうようぶぶん)
マンションなどで、区分所有者で所有しあう部分のことをいいます。たとえば、エントランスや通路、エレベーター、バルコニーなどになります。マンションの建物躯体(戸境壁、外壁、床スラブ、柱など)も共用部分にあたります。
クーリング・オフ
宅建業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、宅建業者の事務所またはそれに準ずる場所以外の場所でなされた宅地建物の買受けの申込み、または売買契約について、8日間以内の場合には無条件に申込みの撤回または契約の解除ができます(宅建業法37条の2)。これをクーリング・オフといいます。ただし、次の場合には申込みの撤回等ができません。 (1)申込みの撤回等ができる旨等一定の事項を告げられた日から…
躯体(くたい)
建築物の主要構造部分、およびこれと一体化して施工される部分のことをいいます。一般的には、床、壁、柱、階段などをいいます。
区分所有権 (くぶんしょゆうけん)
一棟の建物に、構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所、または倉庫、その他建物としての用途にすることができるものがあるときの、その各部分を目的とする所有権をいいます(建物の区分所有等に関する法律1条、2条1項)。この各部分は専有部分と呼ばれ、共用部分と区別されます。専有部分については、一般の所有と同様に扱われますが、一棟の一部であるから共同の利益に反するような使用は許されません(同法…
クロス直貼り工法(くろすじかばりこうほう)
戸境壁のクロスを貼る工法としては、コンクリート面にクロスを直接貼る直貼り工法と、コンクリート面に木軸を組みその上にボードを貼ってクロスを貼る二重壁工法があります。二重壁の工法の場合、壁とクロス面に空間ができるのでそれがタイコ現象を引き起こし、隣からの音が増幅されて伝わるというデメリットがあります。そのため遮音性からすれば直貼り工法が望ましいです。
契約の解除(けいやくのかいじょ)
民法上は、売買・贈与契約等の非継続契約と、賃貸借、雇用、委任、請負等のように一定期間継続する契約の両方について「契約の解除」という用語を用いていますが、本来は、売買契約等、いったん成立した契約を一方の意思表示によって、当初に遡って解消させることをいいます。 契約の解除は、契約締結の際、一定の事由があるとき解除を認めるという合意をしておいた場合(約定解除権)か、履行遅滞(民法541条)、履行不能(同…
原状回復義務(げんじょうかいふくぎむ)
契約によって履行された給付をその解除によって契約前の状態に戻す義務をいいます(民法545条1項本文)。契約の解除は、有効に成立した契約の効力を当初に遡って消滅するもので、契約によって給付がなされていれば、それがなかったときと同一の状態(原状)に戻す義務を生ずる事になります。ただし、物が第三者に転売されているような場合には、解除によってその所有権を奪うことは許されません(同条同項但書)。原状回復の方…
現状有姿売買(現況)(げんじょうゆうしばいばい(げんきょう))
不動産取引で、売買契約書中に「現状有姿(のまま)」「現状有姿にて引き渡す」等の文言が記載されることがありますが、その意義、具体的な内容については業界でも定説がありません。現状有姿は、引渡しまでに目的物の状況に変化があったとしても、売主は引渡し時の状況のままで引き渡す債務を負担しているにすぎないという趣旨で用いられることが多いですが、単に現状有姿との記載があるからといって、これをもって直ちに、売主の…